後立山北部 赤禿山(1158.0m)、聖山(1527.0m) 2016年4月23日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 5:08 林道−−5:28 斜面取付−−6:32 赤禿山(三角点探索) 6:45−−9:34 聖山(休憩) 10:59−−12:54 赤禿山(休憩) 13:12−−13:43 林道−−13:56 駐車場所

場所新潟県糸魚川市
年月日2016年4月23日 日帰り
天候
山行種類残雪期籔山
交通手段マイカー
駐車場大峰峠付近から西に延びる林道路側に駐車
登山道の有無無し
籔の有無杉植林帯及びその上部の自然林は灌木と根曲がり竹、それ以上は灌木が主な藪。残雪で全体の8割くらいは藪を回避できた
危険個所の有無無し
山頂の展望赤禿山:樹林で無し  聖山:西側以外が良好だが場所をずらせば西側も見える
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コメント大峰峠付近から西に延びる林道から往復。残雪が少ないのを覚悟で出かけたが予想より雪が残り藪漕ぎは全行程で2割程度だった。尾根が細く雪が早く落ちる地形もあるが例年のこの時期なら藪漕ぎは1割未満だろう。その代わり車で大峰峠や林道に入るのは無理になる。聖山まで途中に目印は見かけなかった。往路の赤禿山近くでカモシカ、復路の赤禿山山頂で熊に遭遇した


地図クリックで等倍表示


山之坊集落上部の車止め。小型車は横を通過可能 大峰峠
建物の中にはお地蔵様 林道入口。雪なし
ここまで車で入れた 日本海には佐渡ヶ島
林道脇の植林は間伐後、さほど時間がたっていなかった 林道分岐から南を見ている
雪を選んで斜面に取り付く でも長続きせず藪に突入
尾根北側にしか雪が無い 北斜面の雪が切れると尾根上の無雪帯を登る
徐々に残雪が増えてくる でも時々藪
熊棚 熊棚のあったブナに残る熊の爪痕
標高1130m付近。山頂稜線直下 山頂稜線は雪が落ちていた
南北ピーク間鞍部のみ雪あり 赤禿山山頂。残雪は雪庇溶け残り
雪が消えた灌木藪の中でやっと三角点発見 南側の石が三角点発見のヒント
聖山に向かう。最初は残雪歩き カモシカに遭遇
1120m峰〜1080m鞍部への下りは雪なし イワウチワがあちこちで咲いていた
1080m鞍部 1080m鞍部から登り返し
標高1100m 1120m峰手前
1050m鞍部 1080m付近から灌木藪漕ぎ
1100m付近。まだ雪無し 1155m峰の登りは尾根南の残雪を利用
1155m峰から見た1370m峰。雪が落ちている 1140m鞍部
1180m。マンサクが咲いていた 1200m峰直下
1200m峰から見た赤禿山 1200m峰
1200m峰の先はしばし雪無し 雪が残る北斜面を巻く
1200mで尾根が広がるまで北を巻いた 1240m付近。尾根を登らず南斜面を斜めに登る
尾根に乗りあげる個所は雪庇 1280mで尾根に乗ると雪庇が連続
1370m峰直下から雪が切れる こんな植生ばかりなら楽なのだが
1370m峰てっぺん。強固な灌木藪 1350m鞍部へも雪は無く痩せ尾根を下る
1350m鞍部 1401m峰への尾根は雪を使わずとも快適
笹も灌木も無し 1401m峰から赤禿山を見る
1401m峰てっぺん てっぺんを過ぎると雪が切れる。灌木藪
1390m付近 1370m鞍部手前。残雪で北を巻いた
1370m鞍部付近 標高1380m。雪に乗る
標高1380mから見た乗鞍岳 標高1380mから見た林道山之坊線
1400m小ピーク直下 先週登った丸倉山
1400m小ピークから振り返る 1400m小ピークから見た聖山
もう藪は無いと思ったら1400m小ピークの下りは藪 1390m鞍部から先はもう藪は無い?
1430m付近は北を巻いたがクラックあり 1460mから見た聖山
1490mから見た聖山 聖山山頂
苦労して三角点を発見 聖山から見た登ってきた尾根
聖山から見た青海黒姫山 聖山から見た明星山
聖山から見た360度パノラマ写真(クリックで拡大)
下山開始 聖山直下から見た蓮華温泉
聖山直下から見た後立山北部
帰りは藪を避けて延々と北斜面をトラバース 1401m峰の北側
1370m峰も巻き終わっている 1300mで尾根に復帰
1300m付近は快適な残雪歩き 赤禿山近くで新鮮な熊の足跡
帰りは赤禿山で休憩。ここで熊に遭遇 林道手前の籔が一番濃かった
林道に飛び出す 林道から見た雨飾山
この雪の先のカーブで駐車


 後立山最北部の長栂山から五輪山、黒負山と北東へ落ちる顕著な尾根があるが、その中央付近に位置するのが聖山。登山道は無いので一般的には雪のある時期限定の山だ。ネットで調べると聖山の東にある赤禿山は山スキーの記録がたくさん出てくるが、聖山になると数がガクっと減少する。発見した記録は全て山スキーであった。私は普通の歩きで挑戦する。

 今年は雪が少なく、先週登った丸倉山から見た聖山は山頂付近は白かったが東に行くほど雪は無く、赤禿山周辺は完全に藪が出ているように見えた。ただし、丸倉山から見えるのは南斜面なので雪が少ないのは当然。もしかしたら稜線上や北側はまだ残雪があるかもしれないと出かけることにした。今となっては日数が経過するほど雪解けが進んで藪が出てしまうので行くなら早い方がいい。

 登山口は山之坊集落奥の大峰峠付近から西に伸びる林道とした。今年の雪の少なさは異常なくらいで山之坊集落でもほとんど雪が無いし道路の両側も無雪だった。ところが集落を抜けた個所に車止めがあるではないか。周囲はもちろん路上には雪のかけらもない。先週の状況からして大峰峠にも雪は無いだろう。まあ、ここから歩いてもいいかと思ったが、車止めを良く見ると道路右側の隙間には車が通ったタイヤ跡あり。普通車の大きさなら通過可能だった。もちろん軽自動車では軽々と通過可能だ。

 その後も路面上どころか周囲にも雪は皆無で通行止めの意味があるとは思えなかった。カラフルに舗装された広い立派な舗装道路を登りきると大峰峠で、西側に建物があり中にはお地蔵様があった。まだ雪囲いが外されていないが、道路が正式開通したらお堂もオープンするのだろう。

 峠の僅か先で左へ入る林道発見。入口にはチェーンで車止めできるようにはなっているが今は鎖は外されていた。路面の様子からして今年の雪解け後に車が入っている形跡が濃い。未舗装で水が流れて路面が掘れた個所があるので注意して進むと林道が尾根を回りこんで北側に移ったところで路上に残雪が登場して車の通過は無理だった。手前のカーブに車を置いて歩くことにした。見上げる赤禿山東斜面には斑に雪が残っていて、ルートを選べば半分くらいは藪を回避できそうだ。予想よりは雪が多く残っているが、例年ならこんなものではないだろう。

 今回の装備であるが、地形図を見る限りは急峻な地形は無さそうなので重装備は不要だろう。しかし念のためにピッケルは持ち、代わりにアイゼンは6本爪軽アイゼンとした。結局アイゼンは使わなかったので正解だった。ワカンも不要だろうと持っていかなかったが(そもそも車に積み込まなかった)、この判断も正解だった。

 好天が予想され暑さ+日焼け対策で麦藁帽子を準備したのだが、出発時は車が揺れるくらいの強風が吹いていて、稜線上では麦藁帽子では風に煽られて邪魔になると判断して毛糸の帽子とつば付きの野球帽にしたが、結果的には失敗で強風は明け方だけで日中はほぼ無風で暑く、麦藁帽子が大活躍できた気象条件だった。

 林道上の残雪は車を置いた先の個所だけで、それより奥は林道分岐まで雪が溶けていた。最初のカーブを曲がると斜面は植林帯に変わるが、明らかに最近間伐された形跡がある。木が伐採されただけでなく根曲がり竹も刈られている。これなら植林帯の中は藪漕ぎしなくて済みそうだ。斜面には雪は全く見られない。

 さらに進んで林道が左右に分岐する個所に到着。この先は路面は残雪に覆われていた。雪もあることだしこの付近から尾根に取り付くのがいいだろうと、より残雪が多い左側の林道を僅かに進んで斜面に取り付いた。しかしこの付近の植林は間伐されておらず、地面は根曲がり竹や潅木が多くて雪が無いと藪漕ぎ状態だった。緩やかな尾根上に出ると自然林に変わり、雪は完全に消えて多数の根曲がり木のオンパレードだ。これは根曲がり竹より厄介。大した傾斜ではないのに大半の木が寝ていて、雪の多さを物語っている。

 尾根が広がる870m肩は残雪があって歩きやすい。植林はここまでで北斜面が植林、それ以外はブナの樹林帯だ。普通はブナの樹林帯は残雪に覆われるが今年は雪が少なくこの標高ではちょっと傾斜が出るともう雪は無い。910m峰への登りも雪は無く、雪の重みで横に寝た背の低い照葉樹の藪が目立つ。910m峰で傾斜が緩むと残雪が現れて照葉樹籔から解放されるが、積雪量はせいぜい2,30cmくらいの薄っぺらい層しか残っていない。これでは来週の大型連休にはほとんど消えてしまうだろう。

 910m峰から先は断続的だが雪がつながるようになり格段に歩きやすくなった。それでも雪のある場所は島のように分断された場所もあり、短い藪を突破しつつ残雪を求めて右往左往しながら登っていく。やはり南斜面寄りは雪が消えているのでやや北寄りを進むが、登るに従い北斜面の傾斜がきつくなってくるので雪が少ない尾根上に追いやられる。

 標高1130m付近から傾斜がきつくなり完全に雪が無くなった。こりゃまた藪漕ぎかと思いきや、尾根直上には明瞭な獣道がある。植生は背の高いブナに地面付近は潅木藪だが比較的薄く、濃い場所は獣道が迂回している。山頂部のピークは南北に2つあり、その鞍部だけ残雪が詰まっていた。本当の山頂がある北側ピークへの突き上げは獣道を発見できず、できるだけ雪を伝わった都合で尾根筋ではなく西側斜面の低い照葉樹の藪を掻き分けて登っていく。

 南北に細長い山頂部に突き上げると東側は雪庇が残っていて藪を回避可能。そして赤禿山山頂も東側には雪が残っていた。人工物は見当たらないが地形図によると三角点があるはず。尾根直上は雪が消えて潅木と蔓藪に覆われているが、ぱっと見た感じでは三角点は見えない。南北方向に捜索範囲を広げて探すが見つからず。しかし最高点付近には石がある。これは三角点の四方を囲んでいる石の可能性があり、その付近の藪の下を丹念に探すが発見できない。もしかしたら埋もれているかもと、ここまで登場機会がなかったピッケルに活躍してもらう。石の近くの地面をつついて手応えのある場所がないか探し回ると、石の北側50cmくらいの場所で硬いものに当たった。地面を覆う枯葉を除けるとありました! 三角点! 頭の高さは地面スレスレで落ち葉に覆われては見つからないはずだ。三角点を発見できたので大満足。今週も好天で日差しで顔が日焼けするのは確実なので日焼け止めを塗った。

 まだ休憩には早いのでこのまま聖山を目指すことにする。出だしは北に伸びる尾根に引き込まれやすいので注意が必要だ。山頂付近の西斜面は照葉樹藪なので北側から回り込んで不明瞭な尾根に乗る。ここは雪が乗っていて歩きやすいが、小尾根がいくつかあって最初の小尾根は偽物だった。周囲は背の高いブナ林で、落葉した今は展望が効いて先の地形が見通せるのは大助かりだ。左にトラバースして小さな谷を越えて次の尾根が本物だった。

 最初の1110m鞍部へと下っていくと徐々に雪が減ってきて短い藪を突っ切ることもあり、残っている雪の深さは30cmを切っていると思われる。2つ目の1110m鞍部へ下っている最中にカモシカ発見。ここまでカモシカの足跡は多数見ていたが現物に会えてよかった。先週も見ているし、最近は山間部の道路を車で走っているときにカモシカを見たこともあり、長野北部や新潟ではカモシカに出会える確率は比較的高い。

 2つ目の1110m鞍部付近も雪は少ない。1120m峰から1080m鞍部への下りは雪は無くて幅の狭い尾根上を進んでいくが、ここは藪が薄く獣道もあって歩きやすい。先週の丸倉山ではまだつぼみだったが、この周囲にはたくさんのイワウチワが咲いていた。

 1080m鞍部へは赤禿山側からだと急斜面で落ち込んでいて、草や潅木に掴まって鞍部に降り立つ。雪が付いていればもっと楽だったろう。帰りの登り返しの方が面倒だった。

 1080m鞍部からの登り返しも少しの間は雪が少なく、残雪を求めて尾根直上ではなく北側を巻いて登っていく。傾斜が緩むと残雪に覆われるようになり快適な歩きだ。ここも残った雪の厚さは数10cm程度でよく締まってワカン無しでも楽に歩ける。少しでも残雪が残っていれば笹や小振りの潅木は横に寝て雪の下だ。

 1120m峰付近はかろうじて雪がつながっているが、雪が溶けて地面が見えた場所の植生は笹ではなく潅木が主で、中には絡み合った蔓藪も存在し無雪期は部分的には地獄を見そうだ。1100m付近はほとんど雪が無いがそれほど藪は濃くないので助かる。1070m峰のてっぺんは藪が出ているので北側を巻いて1050m鞍部を通過する。

 しばらくは快適な残雪が続くが標高1080m付近は尾根上は雪が落ちて笹が出いたが、まだ標高が低いので大した濃さではない。しかし進んでいき尾根が細まると灌木主体となって鬱陶しい。標高1100mまで雪が落ちた尾根を進み、1100mの等高線が広がる場所から尾根南側に残雪が再び現れてそれに乗る。1155m肩はそのまま残雪を利用して南斜面を登って1150m峰を越える。1155m峰は広い雪原だった。前方には1370m峰と1401m峰が見えているが、1370m峰の下りが雪が落ちてしまっている。ここから見えるのは岩っぽい急斜面の南斜面なので早く雪が落ちるのは当然であり、もしかしたら稜線上や北側斜面は雪が残っているかもしれない。でもあの尾根が細かったら潅木藪だなぁ。

 1140m鞍部は尾根が狭まって再び灌木藪だが1160mから雪がつながる。雪に埋もれ開けて斜めになった灌木はマンサクで花を付けていた。灌木の多くは何故かマンサクなのであった。1200m峰までは雪が残っていたが1200m峰てっぺんから尾根が狭まり雪が落ちて尾根上は潅木藪に覆われる。僅かに獣道があるので何も無いよりは楽だが、根元から盛大に枝が分岐した潅木を乗り越えるのは大変で、足を高く上げる必要があり翌日はお尻が筋肉痛になったほどだった。でもこの藪のレベルはフクベノ頭〜西ノ岩菅に比較すれば楽な部類だ。ただしこれ以上雪が消えると酷い方向に向かうのは間違いないが。

 2つの1200m峰が連なる尾根上は灌木藪が続く。尾根南側は雪が無いが北斜面は雪が付いていて、傾斜が緩い個所は残雪斜面のトラバースで藪を回避する。細長い尾根区間が終了し1210mを越えて尾根幅が広がると待望の残雪帯に変わり藪から開放され、1270m肩への登りは快適な雪稜が続く。尾根直上を歩いても問題ないが、1270m肩をショートカットしてその先で尾根に乗り上げると少しは楽ができそうだ。幸い、東斜面にもたっぷりと雪が残っていて藪の心配はなさそうだし斜面の傾斜も緩い。適当に歩きやすいところをトラバースして尾根直下に達すると雪庇の溶け残りの雪壁があったが、小尾根から突き上げる場所なら高さ2m弱で垂直ではないため容易に上がることができた。

 上がった尾根は東側にきれいに雪庇が残って雪の回廊だ。やはり残雪期は潅木藪漕ぎではなくこれでなくては。1370m峰てっぺんが近づくと尾根直上〜北側は雪が消えたが背の高いブナと低く薄い笹、薄い灌木で予想外に歩きやすい。しかしそれも1370m峰てっぺんまでで、てっぺんから先はぼうぼうの灌木藪だった。尾根が狭まり左右に迂回ができないのでそのまま尾根直上の灌木藪の中を下っていく。下りの傾斜がきつくなると藪はやや薄くなるが尾根の左右が切れ落ちて危険な匂いがし始めた。特に北側は絶壁状態のようで20mくらい下になだらかな雪原が見えている。もしかしたら大きく北を巻いた方が良かったかもしれないなどと考えながら下っていくが、岩っぽくなる個所もあるが通過に危険を感じるほどの痩せ尾根はなく、それなりに安心して下ることができた。1350m鞍部で再び残雪に乗り、潅木藪とおさらばだ。

1350m鞍部から1401m峰までは尾根東側に雪庇が残って快適な雪稜歩きが楽しめる状態。やっぱり残雪期はこれでなくちゃ。尾根直上から西側直下はきれいさっぱり雪が消えて地面が出ているが、予想外にも藪がほぼ皆無で残雪の上よりも格段に歩きやすかった。背の高いブナが生えて地面付近は笹も潅木も無い。もしこんな状態がずっと続くのであれば聖山は無雪期でも案外楽に登れてしまうのだろうが、残念ながら現状で雪が落ちているような尾根が痩せた場所は軒並み潅木藪であり、ここが例外なのであろう。

 登り切った1401m峰てっぺん付近は笹と潅木が生えているので南側の雪庇溶け残り上にルートを切り替える。てっぺんには太いブナの根元だけ残っていた。残念ながら雪はこの少し先で切れていて、下りが始まると潅木藪のお出ましだ。南側に雪庇溶け残りがある場所もあるが雪解けが進んで長続きせず、1370m鞍部まで灌木藪が続く。1370m鞍部は西側斜面の残雪を伝わった。

 1370m鞍部から登りに変わると狭いながら尾根南直下に雪庇の溶け残りが残るようになり、かろうじて灌木藪が埋もれている。南側には先週歩いた大所川沿いの林道が一部だけ見えている。下流側から上流方向を見て右に大きくカーブする場所で、林道が流れの高さに接近して川幅が広がり、大きな堰堤がある場所だ。その右の尾根が黒負山に登るのに使った尾根であるが、見た感じでは林道のある高さまでは雪が無さそうだ。でもブナ林が始まる辺りから雪が現れ始め、藪が登場する頃には充分な残雪がありそうだ。これなら大型連休でもぎりぎり楽しめそう。雪が少なく林道歩きのリスクがほぼゼロで、しかも楽に歩けるのは大きなメリットだろう。

 1400m峰へは快適な雪稜歩き。ここまで来るとブナの背の高さは低くなって展望が開けるようになる。ワカン不要な締まりがあるがアイゼンを必要とするほど硬くはなく、まさに残雪期の最高の雪質だ。1400m峰てっぺんまで来ると聖山は近く、ずっと雪が繋がっているように見え、もう藪は無いだろうと考えていたが、下っていくとまだ雪が落ちた区間が登場した。例年の残雪量ならこんなことはないのだろうが・・・。灌木藪は1390m鞍部まで続く。

 これまでの藪漕ぎの影響もあってか足が重く感じるようになり休憩したくなったが、聖山までもう少しなので頑張ることに。時計を見ると出発から4時間近く経過、気付かなかった。ここまで休憩無しなので疲れるのも当然か。ここまで時間を気にするよりも残雪状況=藪の方が気になっていた。

 1450m付近だけは尾根直上の雪が割れて盛大に潅木藪が出ていたので北側斜面を迂回する。ここにはクラックが数本走っていて、もっと間隔が開くと越えることができず尾根上の藪漕ぎが必要になるだろう。

 迂回が終わって尾根に復帰すると今度こそ山頂まで雪で覆われた尾根で繋がっていた。ブナはさらに矮小化し、斜めになって半分以上は雪に埋もれているだろうか。でも高度が不足なのか、シラビソはほとんど見られない。聖山の左奥には黒負山が見えていて稜線にはべったりと雪が残っていて、立ち木はほとんど無いしまだ山スキーが楽しめそうな場所だ。大型連休には蓮華温泉から五輪山と絡めて登る人がいるかもしれない。それとも今日このとき登っている人がいるだろうか。さすがにここからでは人間くらいの大きさの物体を見分けられるような距離ではない。

 緩やかな広い尾根を登りきると聖山山頂に到着。山頂部の北〜東側は残雪が覆っているが反対側は矮小な潅木が茂っていた。平坦で広く顕著なピークは存在せず三角点を探すのは難しそうだ。そもそも三角点が藪の中なのか雪の下なのか不明だ。ぱっと見た目では最高点らしき場所は藪の中。三角点周辺は藪が刈られているパターンもあり得るが、ここの潅木藪はぼうぼうでそんな刈り払いはない。地形図を見ると最高点よりやや東に三角点があるような表記で、登ってきた方向に近い藪の中を捜したが見つからなかった。北側も探したが同様で、どうも雪の下に埋もれているようだ。残念。

 三角点探索を諦めて雪と藪の境界の僅かに藪側、地面が出ている場所にザックを転がして休憩しようとしたら、ザックの近くに石を発見! この植生、地形で地面にこんな顕著な石が存在するのは不自然で、これは赤禿山と同じパターンで三角点を囲む4つの石の一つかもしれない。石の近くを探すとありました! 石の北西側に少しだけ頭を出した三角点が。よかったぁ、残雪期なのに2山とも三角点を発見できて。これも今年の残雪が少なかった影響だろう。

 山頂の展望は西側は潅木で遮られるが、北〜東〜南は立ち木皆無で展望が開ける。場所を少しずらせば西側の黒負山も見ることができた。後立山北端エリアはまだまだ残雪が豊富。鉢ヶ岳の東斜面などは木が無い広大な雪原だ。蓮華温泉の建物も見えたが、連休中は山スキーヤーで賑わうだろう。北に目を向けると犬ヶ岳から東に伸びる尾根。本当は今年の大型連休に歩きたかったが、もう残雪が減りすぎてかなりの藪漕ぎだろうから来年以降に持ち越しだ。東に見える海谷山塊も既にかなり黒かった。

 天気は相変わらず良く日向は暑いくらいだが、山頂には日影は無い。ザックを地面に敷いて横になって休憩したら先週同様寝てしまい、計画より長時間の休憩となった。今回のルートは横に長いが標高差はそれほどでもなく、充分明るいうちに下山できるので多少の遅れは問題無し。

 飯を食い水分も補給して下山開始。ここから赤禿山までは下りが多いが細かなアップダウンが続き藪も待ち受けているので、往路でかかった時間をそれほど短縮できないだろう。できるだけ登り返しも藪も回避したいところだ。そこで1400m峰から1370m峰は北側を大きく巻いてみることにした。ざっと見た感じでは1370m峰までは雪が続いているようだが、1370m峰を通過してからは結構黒くなっている。でもしばらくは藪を回避できるのは間違いなさそうなのでやってみるか。

 1390m鞍部で北側斜面に入り、1400m峰から北東へ落ちる尾根上にできた小規模な雪庇段差を下って緩い斜面へ。最初は傾斜はそれほどきつくなく快適に歩けるが、やがて傾斜が出てくると高度を上げず水平移動しているのにやけに疲れて息が乱れる。人間の足は前後の傾きには対応しやすいが左右の傾きには対応しにくいらしい。この斜面は進行方向に対して右上がりだが、この場合は右足の一部の筋肉が酷使される。まじめにステップを切りながら歩けばいいのだろうが、締まった雪では蹴り込むのも結構疲れる。ピッケルで支えながら長いトラバースを続ける。素直に尾根上を歩いた方が良かったかなぁと後悔し始める。でも下山してからよ〜く地形図を見ると、もっと高度を下げて標高1300m付近の緩斜面が長距離続く場所をトラバースすればずっと楽に歩けただろうとさらに後悔した。

 1401m峰が近づくと北側に平地が出現、少し高度が落ちるが斜面横断より格段に歩きやすいので駆け下る。しばしの間は水平の雪面だったが再び斜面が立ち上がってトラバース。徐々に雪が減ってきて尾根に近い場所は藪が出るようになり、少しずつ高度を下げていく。張り出した微小尾根は特に雪が少なく、藪を横断することも。

 高度をあまり下げすぎるといつになっても尾根に再び乗れなくなるので1300m付近をキープするよう心がける。右手の尾根が徐々に接近、最後は僅かに藪を抜けて南側の雪庇に出た。ちょうどいい具合に1270m肩の手前、往路で雪庇をよじ登った少し西側であった。帰りも往路を辿り1270m肩はパスする。

 その後も尾根直上で藪が出た場所は北側の残雪が利用できるところはそこそこ傾斜がきついところでも残雪斜面に突入する。こんな場面ではアイゼンがあった方が楽だが、装着が面倒なのでピッケルとキックステップでクリアする。

 最低鞍部付近まで来れば尾根上の藪は薄いので、獣道を辿ってほぼ尾根上を進み、鞍部から急斜面を強引に攀じ登って斑な残雪帯を登り返していく。往路で出会ったカモシカの足跡はまだ残っていたが、往路では見かけなかった新しい熊の足跡が往路の私の足跡に重なるように残っていた。爪の跡まで残っているのでかなり新しいものだ。この付近でも熊は活動を再開しているようだ。もちろん、私は常に熊よけの鈴を鳴らしながら歩いている。私が登る残雪の山は熊がいて当然のエリアだから。

 残雪をつないで赤禿山山頂に到着。聖山から2時間かかっているので休憩。どうせ時間に余裕があるので急いで下山する必要は無い。雪が溶けて乾いた地面が出た場所にザックを敷いて残った昼飯と水分を補給。本当に今日は暑いくらいの天気で、水分補給のために途中で雪を食って手持ちの水以外で補給しないと1リットルの水は無くなってしまっただろう。

 山頂でくつろいでいると、北側へ伸びる顕著な尾根の方向から獣が枯葉や枯れ枝を踏む音が聞こえてきた。赤禿山へ接近してくる。私のような藪屋の可能性もないわけではないが、ほぼ確率ゼロであろう。音の大きさから言って大型動物に間違いなく、カモシカか熊のどちらかと予想。当然ながらカモシカの確率が最も高い。でも万が一熊だったらこのまま放置したら接近遭遇になり危険が出てくるので、こちらの存在を知らせることとあちらの存在を確認するために立ち上がって音の方向の先が見通せる場所まで下ってみた。私の場合、ウェストポーチに鈴を付けているのでザックを背負わなくてもウェストポーチを付けた状態で歩き出せば勝手に鈴が鳴る。10秒ほど歩くと3,40m先を足音の主が逃げていくのが見えた。割と小型で途中で一度振り返ったのを見てカモシカかと思ったが、そこからすぐに再び走り出したその体の色、形、走り方はまさしく熊であった。大きさからして生後2,3年程度ではなかろうか。今年はじめて見た「生の熊」だ。残念ながら写真撮影する間もなく逃げられてしまい、予めデジカメを起動しておけばよかったと後悔。あの新しい足跡の主だったかもしれない。

 休憩を終えて出発。赤禿山から林道までの尾根は広がっているので下山は要注意。もっと雪が多ければ往路の自分の足跡が目印になるが今回は雪は断続的だったし、朝は雪が締まって足跡が残りにくかったのでその手は使えない。今回は面倒なので尾根が広がったら私にとって最終手段の地図無しGPSの登場とした。往路の軌跡を辿りつつもできるだけ雪が繋がった場所を選んで広い斜面を下っていく。人工林が現れれば林道は近いが人工林の中の方が雪が消えた場所の藪の程度が悪い。雪が無くなってしまえば酷い藪漕ぎだ。根曲がり竹に蔓が絡まり最悪パターンの藪も登場した。これも例年ならば雪の下で寝ているのだろうが今年は雪が少なすぎる。

 藪を強引に突破して林道に降り立つ。もう藪も雪も無く淡々と林道を下っていくのみ。それにしても暑いくらいも陽気で、これでは残り少ない残雪がどんどん溶けてしまう。今年の大型連休の行き先に頭を悩ます事態だ。林道脇にはフキノトウの群落。今年は山菜も早めに出てくるかな。

 駐車場所の林道カーブに到着。当然ながら他に車は無い。着替えを済ませ、登山靴やスパッツの虫干し時間を兼ねて残りの飯を食って軽く腹ごしらえ。車の中は暑いくらいでドア全開で換気。そろそろ車中泊用の寝袋も冬用は不要かもしれない。運転する格好もTシャツでちょうどいいくらい。杉花粉のシーズンはこの付近でもおしまいで、窓を開けても目が痒くならないのはうれしい。


 まとめ。今年は雪は少ないが、まだギリギリ残雪が楽しめた。でも1週間後には赤禿山周辺はかなり雪が減っているだろう。標高が低いので激しい藪ではないと思うが、雪よりは格段に鬱陶しいだろう。ネットの記録を見る限りでは例年の今頃ならほとんど藪は埋もれていると思われるが、そのくらい雪が残っていると山之坊集落より上の県道は未除雪で、今回のように林道まで車で入ることはできない。でも車道歩きの区間はそれほど長くないので、やはり山に入ってから後に雪が多く残っている方が有利だと思う。

 今回は2つの山頂を無事踏めたこと、三角点を発見できたことも良かったが、カモシカ、熊との出会いがあって大満足。熊棚はあちこちに見られたので熊がいて当然のエリア。熊に自分の存在を知らせる手段を持って入りたい。

 

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